ヤマハギ

山野に生え、約2メートルの高さのマメ科の落葉樹(らくようじゅ・毎年葉が枯れて、一定期間休眠する<といっても春にまた花や葉がつくように栄養や力をためている>木のこと)。

葉は3出複葉(さんしゅつふくよう・小さな葉に見える小葉<しょうよう>というものが3枚集まって、1枚の葉になったもの)になっています。小葉の形は大きなだ円形や大きな卵形で、先は丸くなっています。また、裏には少し毛が生えているのも特徴です。6~9月、葉のわきから長さ1.3~1.5センチの赤紫色で蝶の形の花が咲きます。庭木など家庭でも栽培され、漢字では「山萩」と書きます。秋には葉が黄色くなります。モミジやカエデの葉の秋の色変わりもいいけど、このヤマハギの葉の色変わりもいいと思います。(ちなみにこのハギのことをハゲという子がいたが、これはハゲでなくハギです。我々の時代も今の子どもたちも笑いのベクトルは同じような気がする。以上雑談失礼。)

ちなみにハギを詠んだ短歌が奈良時代の歌集である万葉集(まんようしゅう)に収録されています。大伴旅人(おおとものたびと)という奈良時代の歌人(歌人の大伴家持<おおとものやかもち>の父)が詠んだもので、「我が岡に さ雄鹿来鳴く(おじかきなく) 初萩(はつはぎ)の 花妻(はなづま)問ひ(い)に 来鳴(きな)くさ雄鹿」です。私の住む岡に牡鹿が来て鳴く。今年初めて咲くハギの花に求婚するために来て鳴く牡鹿よ、という意味です。その通り旅人が牡鹿とハギを見て詠んだ短歌であり、これで一枚絵がかけそうです。ちなみに私にこういう絵のセンスはありませんが・・・

また、ハギといえば山上憶良(やまのうえのおくら)という奈良時代の歌人がよんだ「萩(はぎ)の花 尾花(おばな)葛花(くずばな)なでしこの花女郎花(おみなえし) また藤袴(ふじばかま)あさがほ(お)の花」という和歌があります。(ちなみに尾花はススキのこと。葛花はクズ、あさがおはキキョウのこと)これは憶良が子供に秋に咲く植物を教えるために、これらが特に秋におなじみの七つの草花-秋の七草なんだよ、というメッセージでよんだものといわれています。子供たちにこういうことを教えるかどうかはともかく、秋の七草とか自然、旬というものについて少しでも生活する者として知っておきたいと思う今日この頃です。ハギの木は万葉集にある歌に一番多く登場する木で、歌の数は141首です。

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