アカネ

アカネ_s

 

 

 

 

 

 

 

 

山野に生えるアカネ科の多年草(たねんそう・一生<芽が出て枯れるまで>は2年以上続く植物のこと。一度枯れても根は生きていてまた芽を出す)。茎には4本立てに筋が通っていて、そこから下向きにとげが生えています。葉は4枚が輪生(りんせい・輪をかくように複数の葉が同じ節から生えること)し、形はハート形。8~10月に茎の先や葉のわきに黄緑色の花が多数咲きます。

漢字では根が赤いことから茜と書き(赤根が転じたのだろう)、その根は乾燥させ、茜染め(赤く染めること。衣類などに使われる)の材料になります。

このアカネをよんだ歌が万葉集(まんようしゅう)という奈良時代の歌集にあります。

茜さす紫野(むらさきの)ゆき標野(しめの)ゆき 野守(のもり)は見ずや君が袖振る(そでふる)

額田王(ぬかたのおおきみ)という奈良時代の天皇家の一族がよんだ歌で、ほら、紫草の野を行ったり、標野(一般人の立ち入りを禁じた野のこと)を行ったりして野の番人は見てるじゃないの。あなたが私に袖を振るから、という意味です。これは額田王の夫になった大海人皇子(おおあまのおうじ・のちの天武天皇<てんむてんのう>)が額田王への愛情表現として袖を振るのを額田王がやめてと言う様子をよんだものです。ちなみに茜は紫にかかる枕詞(まくらことば・その言葉自体に意味はなく、あることがらを引き出す、強調するためにつける修飾語のようなもの。あしひきの-山 たらちねの-母というように)で、植物のアカネのことではありません。大海人皇子が額田王に好きだというメッセージを送るために立ち入り禁止の場所をうろついて、番人が怪しいやつ、と思っている様子が目に浮かんでくるのではないでしょうか。まあ、大海人皇子本人には悪意はないでしょうが。

ちなみに茜の花言葉は私を思って、媚び(こび・人にいいかっこうをしたり、いい子のふりをしてほめられたり気に入ってもらおうとすること)、誹謗(ひぼう・人の事実でない悪口を言うこと)といい意味ではありません。私個人はおもしろい葉のつき方や形で好きな植物のひとつですが。

 

 

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