ハハコグサ
道ばたや畑、人が住んでいるところに生えるキク科の多年草(たねんそう・芽が出て枯れるまでのいわゆる一生が2年以上の植物。一度枯れても根は生きていてまた芽を出す)。高さは15センチ~30センチになり、全体に白い綿毛が生えています。葉はヘラみたいな形や細い針のような形。
4~6月に黄色く、小さくて丸っこい花が多数固まって咲きます。(キクみたいだがキク科だから当たり前か)この花はまたの名をオギョウといい、いわゆる春の七草のひとつです。春の七草は新年の七草がゆに入れる山菜で、このハハコグサは生えたばかりの苗を食べることができます。また、葉は草もちの材料になったり、薬草(咳をしずめたり、たんをおさえたりなど)にもなります。漢字では母子草と書きます。さらに別名のオギョウは母子の人形のことです。
花言葉は「いつまでも忘れないで」。小さくても一生懸命咲いている感じからハハコグサ自身がそう言っているかもしれません。そして、何を忘れないでほしいのか、いろいろ考えさせられますが、切実な想いがあるのは確かなようです。
メセナSUN-CLUB学びの森では万葉集(まんようしゅう)という奈良時代の歌集から植物を学び楽しむ「万葉の植物講座」を行っていますが、これにちなみ、お粗末ながら一句。(万葉集に俳句はないが)
春の陽に ハハコグサ見る 母子(おやこ)かな
あと、このハハコグサはヒヨドリバナやサワヒヨドリにも似ているのではないでしょうか。(みんなキク科だから当然か。ヒヨドリバナやサワヒヨドリについては同じ里山の植物図鑑のそれぞれの項目参照)この写真は2013年の5月に、なみ滝藤原園内の「さんや荘」という建物のそばで撮影しました。この建物や周辺を中心に小学生が参加する自然体験学習会を行っていますが(くわしいことはこのサイトを参照してください)、参加する小学生たちの送りむかえに親御さんほか家族の方が来るのですが、それを見るとこの項にあるハハコグサのことを想う私です。