アセビ

山地の尾根などの乾燥した所に生え、木の高さが2~3メートルになるツツジ科の木。常緑樹(じょうりょくじゅ・1年以上枯れない葉を持つ木<冬でも枯れない>)。先のとがっただ円形の葉が互生(ごせい・茎や枝に葉が互い違いに生えること)し、4月ごろ、白いつぼのような花が垂れ下がるように咲きます。ちなみに私自身はアセビの葉とシキミの葉は似ている気がします。ただ違うのはシキミの葉は幅が広く、つやがあります。一方、アセビの葉はシキミのようにつやはなく、大きさも小さいです。

私は、花はすずらんのようにきれいと思います。(アセビはツツジ科だが)しかし、花にはクエルセチン、葉にはアセボトキシンなど毒の物質を含み、馬に与えたら文字通り酒に酔ったようになり死んでしまう、漢字では馬酔木と書く毒のある植物です。(すずらんも毒のある植物)また、この葉から殺虫剤もつくられます。ちなみに野生動物は毒を感じて食べないが、牛やヤギといった家畜は野生動物のようにこれが毒とわからず、与えたら死んでしまうそうです。しかし、アセビを煮た後の汁で牛の体をふけば、ダニやシラミがつかないといわれています。

このアセビについては、万葉集(まんようしゅう)という奈良時代に作られた歌集に「磯の上に 生ふる<おうる>馬酔木<あしび>を 手折<たお>らめど 見すべき君が ありといは<わ>なくに」 現代訳:磯のほとりに生えている馬酔木(アセビのこと)を折り取ろうと思うけど。今はもう、それを見せる君がいるわけではないのに。という大来皇女<おおくのひめみこ>という天皇家の一族のひとりが、弟の大津皇子<おおつのみこ>が死んだときに悲しんで作った歌があります。(姉弟愛ですね。ちなみにご存じの方がいると思いますが、大津皇子は天武天皇(てんむてんのう・7世紀後半の天皇)の子。しかし、天武天皇の死後、そのあとつぎになった草壁皇子<くさかべのみこ>への謀反<むほん・王様など政治で位(くらい)の高い人をおとしいれようとすること>の疑いで処刑されました。大来皇女の悲しみも実に大きかったでしょう)

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