アケビ

山地の林縁や空き地、荒地など日のよく当たる場所に生育する、アケビ科のツル性落葉低木(らくようていぼく・文字通り次期が来たら葉が落ちる背丈の低い木。そしてツルのある木である)。漢字では木通と書きます。

春先に新しい芽が伸び、5枚のだ円形の小葉(しょうよう・1枚の葉を作る小さな葉に見える部分。これは葉の一部であって葉ではない)からなる掌状複葉(しょうじょうふくよう・小葉が掌<てのひら>のように集まってできる葉のこと)をつけます。(ちなみに小葉が集まらずに1枚のみで葉そのものになっているのを複葉に対して単葉<たんよう>という)その後、写真のような紫色の花が咲きます。秋に10センチほどの実がなり、熟すと割れます。実は紫色のものと褐色のものがありますが、褐色が多いです。

ちなみにこのアケビの仲間にミツバアケビがあります。同じ実がなりますが、ミツバアケビはその名の通り3枚の小葉が集まって1枚の葉になっています。このような葉の形を3出複葉(さんしゅつふくよう)といいます。ミツバアケビについても里山の植物図鑑の項目を参照してください。

アケビといえば、紫色の実の中の白い果肉を食べることが有名でしょうが、皮も炒めたり、新芽はアク抜きをした後であえ物にするのがおいしです。ちなみに私は果肉はあまり好きではなく、芽の方が好きです。(果肉好きの方ごめんなさい)テレビの某番組で、山形県でアケビの皮の肉詰めがよく食べられているというのがありましたが、アケビは秋の味覚、また、いろいろな食べ方を提供してくれる、サッカーで言えば「ユーティリティプレイヤー」というところでしょうか。それからアケビといえば食べる実を思い浮かべる方が多いと思いますが、写真のような花も魅力があるのではないかと思います。

ちなみにアケビについては、万葉集(まんようしゅう)という奈良時代の歌集にこのような和歌があります。

駿河<するが>の海<み> 磯部<おしへ>に生ふる<おうる> 浜つづら 汝<いまし>を頼み 母に違ひぬ<たがいぬ>  作者不明

駿河の海の磯辺に生える浜つづら(アケビのこと)が長く伸びて広がっているように、私はあなたのことを末永く頼りにして、あなたと一緒になることに反対する母にそむいたのです、という意味です。いちずに愛をつらぬく、というところでしょうか。月並みだが。

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