チゴユリ

山野の林に生えるユリ科の多年草(たねんそう・芽が出てから枯れるまでの一生が2年以上続く植物)。

茎は1本だけで伸びたり、まれに分かれて伸びることもあり、高さは15~40センチになります。茎の先に1~2個の白い花を下向きにつけ、咲くのは4~6月です。 葉は長さ4~7センチの長いだ円形・だ円形で互生(ごせい・茎や枝に葉がたがい違いに生えること)してつきます。果実はボールみたいな形で、黒く熟します。

この植物は小さな花の様子を稚児(ちご・子供のこと)に見立てたものです。シロツメクサやアカツメクサ、チゴユリなど小さな草花は多く生えたものを見てもきれいで、人の目を楽しませてくれるものですが、1つだけ見てもかわいらしく、きれいと思うのは私だけでしょうか。同じユリでテッポウユリやオニユリも好きですが、このチゴユリも小さいゆえの魅力を持っていると思います。

ちなみに、奈良時代にできた歌集「万葉集(まんようしゅう)」にユリの事を詠んだ短歌があります。 作者不明で、「道の辺(へ)の 草深百合(くさぶかゆり)の 花笑みに 笑みしがからに 妻と言ふべしや」です。道ばたの草むらのユリのつぼみがほころぶように私が少し微笑んだくらいで、あなたの妻と決まったとおっしゃってよいものでしょうか? という意味です。おそらくプロポーズの場面でしょうが、プロポーズされた女性はどういう気持ちだったのでしょうか。いろいろ考えられますね・・・花言葉は「私の小さな手をいつもにぎって」。チゴユリには恋とか愛というものが似合う、付きものなのでしょうか。

そして、メセナSUN-CLUB学びの森では万葉の植物講座という万葉集を通して植物を学び、親しむ講座を行っていますが、これにならい、私もお粗末ながら歌を一つ。

チゴユリの群れなす姿楽しげに お遊戯をする野の幼稚園

ただ、チゴユリは毒のある草でもあり、きれいなバラにはトゲがある、ではないが、草花の美しさだけでなく、毒かそうでないかということも考えないといけないものです。嫌な話で恐縮ですが。

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