クズ

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山、林、道路のわき、空き地などいろいろなところに生えるツル性の多年草(たねんそう・芽が出て枯れるまでのいわゆる一生が2年以上の植物。一度枯れても根は生きていてまた芽を出す)。マメ科。春になると芽が出て、ぐんぐん伸びます。茎が伸び続けて長さが10メートル以上になることがあります。7~9月になると長さ10~15センチの紫色の花が咲きます。特徴ある形で、フジの花にそっくりと思います。(フジもマメ科だから当たり前か)花の後は5~10センチの豆みたいな実をつけます。(これもマメ科だから当たり前か)

葉は互生(たがいちがいに生えること)し、3枚の小葉(しょうよう)という小さな葉の組織みたいなものが集まって、1枚の葉になっています。(3枚葉があると見えるかもしれないが、これで1枚の葉なのだ。「3枚で1枚」である)茎には毛が生えているのも特徴で、長く伸びた先に土に向かって根をおろし、新しい株(植物の葉や茎などがまとまったものを株<かぶ>というのだ。この株という植物のひとかたまりがどんどん大きくなって新しく成長する)を作って仲間を増やします。

このクズも食べることができます。春から初夏のうちに出たばかりの芽や葉をとって水にさらし、水をきった後あえ物やいため物、煮物にして食べます。夏から秋に咲いた花はゆでて水にさらした後、酢のものにして食べます。この花は薬にもなり、二日酔い(ふつかよい・酒をのんで次の日に気持ち悪くなること)にききます。また、根は大きくなって長いものように太くなり、この根からでんぷんがとれます。秋から冬に掘ってくだいて、水にさらします。そうすると水の下に白いものがたまりますが、これをかわかすとでんぷんの粉、いわゆる「くず粉(くずこ)」がとれます。知っている方もいると思いますが、くず粉はくずもち、くずきり(はるさめみたいな食べ物。鍋に入れることで知っている方もいるのではないでしょうか)、くず湯といろいろな食べ物の材料になります。しかし、今は繁殖力が強く、他の木にからまって日光が当たらなくなり、からまれた木は枯れてしまいます。また地面一帯をおおうことからやっかいものと言われています。(特に農業や林業の関係者にはやっかいもの)

ちなみにクズは漢字で書くと葛。名前の由来はくず粉の産地が奈良県の国栖(くず)だったからといわれています。そしてこの花の花言葉は芯(しん)の強さ。先に書いたクズの特徴からその通りだとうなずける気がします。このクズについては山上憶良(やまのうえのおくら)という奈良時代の歌人・政治家が歌を作っています。

萩(ハギ)の花 尾花(おばな・ススキのこと)くず花(クズのこと)なでしこの花おみなえし またふじばかまあさがおの花

(ここで言うあさがおはキキョウのこと。昔キキョウのことをあさがおと呼んでいた。今よく知られているあさがおとは違う) この和歌は万葉集(まんようしゅう)という奈良時代の歌集にのっています。憶良はこの歌にあがった植物が秋を代表する植物だ、と紹介しましたが、今も秋の七草として日本を代表する秋の植物として知られています。

話は変わりますが、なみ滝藤原園の畑の中にもクズがあります。この里山の植物図鑑のツユクサの項目でも書きましたが、畑で作業をするかたわらツユクサのようにクズを見て、ああクズだ、と感心しながら作業を続けていました。(ちなみにこの畑にはサツマイモを植えていて、メセナSUN-CLUB学びの森での行事で収穫して焼きいもにしています。畑やサツマイモについてはこのサイト、特に里山通信をごらんください)

 

 

 

 

 

 

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