ヤブツバキ
ツバキ科の常緑樹(じょうりょくじゅ・1年以上枯れない葉を持つ木。冬でも枯れない)。主に海岸近くに生えるが、山地にも生え、灰色の樹皮に灰白色の模様が入ります。葉には光沢や細かいぎざぎざがあり、2~4月に濃い紅色の花が咲きます。ツバキの名は葉が厚くてつやのあることから、「厚葉の木」「つや葉の木」「津葉木」と最初は呼ばれ、これらが転じてツバキになったといわれています。
この木は庭木や切り花、公園の木やいろいろな道具や彫刻の材料に使われ、古くは不老長寿の霊木(霊力を持つ木という意味。霊力とは簡単に言えば霊が持つような不思議な、魔法みたいな力)とされていました。これも我々人間の生活にいろいろなものを提供してくれるマルチな植物と言ってよいかもしれません。
また不老長寿の霊木とされたことから、いわゆる昔のロマンを感じるのは私だけでしょうか。ショウジョウバカマのように昔の歴史に 由来する名の植物もあり、このヤブツバキも昔の歴史を感じさせると言ってよいかもしれません。そしてツバキについて、奈良時代の歌集である万葉集(まんようしゅう)に坂門人足(さかとのひとたり)という人が詠んだ「巨勢山<こせやま>の つらつら椿 つらつらに 見つつ偲は<わ>な 巨勢の春野を」という短歌があります。巨勢山(奈良県にある山)の椿の並木をつくづくと見ながら偲ぼう。椿の花が咲く巨勢の春の野を、という意味です。
16世紀ごろにはポルトガル人によって日本からヨーロッパにこのツバキは広められ、西洋のバラと呼ばれました。19世紀にはフランスのデュマによって「椿姫」という演劇が作られており、影響がどれくらいのものかわかると思います。ヨーロッパで具体的にツバキがどのように呼ばれているか知りませんが、ボンサイやテンプラのようにそのまま言って外国でも通じるかもしれません。
写真のような赤いツバキの花言葉は「気取らない優美」「見栄を張らない」であり、赤は鮮やかに見えるが、仰々しいというわけでなく、地味な感じを受けるのは私だけでしょうか。まあ、地味な中の美しさというのが当てはまると思います。ちなみに白いツバキの花言葉は「完全な愛らしさ」「申し分のない魅力」です。ちなみにツバキは広島県呉市や府中町の花です。
9月(2012年のこと)に里山にて見ました。赤いゴルフボール程度の丸い実が多くなっていました。この実から油が取れるわけです。(椿油だ)ちなみに、このサイトのホームにありますが、メセナSUN-CLUB学びの森の自然体験学習会で山菜の天丼をつくりましたが、ヤブツバキの花も揚げました。ヤブツバキの花は食べられるのです。食べる話がこのコーナーの中にたくさん出て恐縮ですが…