ヤマフジ

マメ科の落葉樹。(らくようじゅ・毎年葉が枯れて、一定期間休眠する木のこと。休眠といっても本当に休んでいるのではなく、また花や実をつけるため養分をためている)漢字では山藤と書きます。山野に生え、庭にも植えられます。 このヤマフジはつるがあり、左巻きになって伸びる特徴があります。ちなみにノダフジ(これもなみ滝藤原園の中に生えています)というフジの仲間は右巻きに伸びます。つるは丈夫で、ものを縛ったり、かごなどを編むために使われます。また、葉の両面に毛があり、4月ごろ、長さ10~20センチの紫色の花を複数咲かせ、一つの花の大きさは直径約2.5センチです。

フジといえば、藤棚のように公園のベンチや街の通りの上の棚に多く咲いている光景を思い浮かべる方が少なくないと思います。この辺でも三永の水源地の藤棚があります。そして、なみ滝藤原園にもこのフジ-ヤマフジがあり、春から初夏にかけてヤマフジの咲く様子は山のシャンデリア、といったところでしょうか。そしてアケビも山のインテリア、なんて思う私です。また、フジは目で楽しませてくれる他に、花は天ぷら、ゆでてあえ物や酢の物に使ったり、若葉も天ぷらや炒め物になります。

このヤマフジについて、万葉集(まんようしゅう)という奈良時代の歌集に「藤波(ふじなみ)の 花は盛りに なりにけり 奈良の都を 思ほ(お)すや君」という、大伴四綱(おおとものよつな)という政治家がよんだ和歌があります。フジの花が真っ盛りに咲きました。あなたも奈良の都を恋しく思いますか、という意味です。大宰府にいる四綱が長官である大伴旅人(おおとものたびと・奈良時代の政治家)の気持ちを思い、奈良に咲くフジの花を遠い大宰府(今の福岡県にある)から懐かしんで歌ったものですが、望郷という言葉が当てはまりますね。

メセナSUN-CLUB学びの森では万葉集から植物を学び、親しむ万葉の植物講座を行っていますが、これにちなんでつたないながら一句。(万葉集に俳句はないが)

春の野に 陽光放つ ヤマフジよ

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