コナラ
日当たりのよい山に見られるブナ科の落葉樹(らくようじゅ・毎年葉が枯れて、一定期間休眠する<といっても春にまた花や葉がつくように栄養や力をためているのである>木のこと)。高さは15~20メートルで、大きいものでは30メートルにもなります。木の皮は灰色っぽい黒色で、たてに裂け目があります。葉は互生し(ごせい・互い違いに生えること)、長さは5~15センチで卵形をしています。また、下の落ち葉の写真を見るとわかると思いますが、ふちにははっきりしたぎざぎざがあります。あるいはその感じからぎざぎざというよりとげとげといった方がいいかもしれません。緑色の葉の裏側は白くなっています。
この木にはお花とめ花があり、4~5月にお花が枝にたれ下がるように咲きます。め花は葉のわきに咲きます。花のあとには実がなりますが、下の写真を見ればわかると思いますが、ドングリと呼ばれるよく見られる実がなります。(こういう形の実をドングリというが、アラカシやシラカシなどブナ科の木にはこういう実がなるのだ。ちょっと違うがクリもブナ科である。この里山の植物図鑑にヤマグリの項目があるが、こちらもごらんください)
この木は公園でよく見られたり、建築や道具の材料、シイタケを育てる木(こういう木にシイタケの菌を植え付けてシイタケを育てるのです)にもなります。そして、炭の材料にもなります。(小学生対象の自然体験学習会でも炭焼き体験をしています。くわしくはこのサイトをごらんください。これで思い出したが、コナラについて学習した際、コナラのことをオナラという子がいた。いつの時代も、私の時代も笑いのベクトルは同じようだ…)上の写真はなみ滝藤原園内の窯である「どんちゃんがま」の上のコナラです。そして下の写真はそのコナラの下に落ちていた葉とドングリです。ちなみにどんちゃんがまの「どん」はドングリのことです。どんちゃんがまの上にドングリのなる木。よい光景だ、なんて思ったりして。
奈良時代の歌集である「万葉集」(まんようしゅう)にコナラをよんだ和歌があります。
下毛野(しもつけの)美可母(みかも)の山のこならのす ま麗(ぐわ)し児(こ)らは誰(た)が笥(け)か持たむ
これは作者不明で、東歌(あずまうた)という東日本で広く歌われた歌です。東日本の方言が入っているのが特徴です。下毛野とは下野(しもつけ・今の栃木県)のことで、そこにある美可母の山は栃木県にある山で、大田和山(おおたわやま)のことです。また、笥とは食器のことで「笥か持たむ」とは食器を持つということで、当時これは妻になる-結婚するという意味です。
歌の現代語訳は、下野の美可母の山(三毳の山・本当はこう書く)のコナラのように、みずみずしく若々しいあの娘は誰の妻になるのだろうか、私の妻になってくれたらいいのになあ、ということです。これは一人の男性の結婚願望ということでしょう。
このコナラの項目でどんちゃんがまに触れたのでついでに。メセナSUN-CLUB学びの森では、なみ滝藤原園にて「ピザ作り体験」を行っていますが、藤原園の草花など自然に囲まれてピザ作りを体験し、それを食べる、というものです。(どんちゃんがまで焼くのだ)興味のある方はお越しいただければと思います。くわしくはこのサイトのホーム「一般:ピザ作り体験」をごらんください。