ヌルデ

ヌルデ_s

 

 

 

 

 

 

 

ウルシ科の落葉樹(らくようじゅ・毎年葉が枯れて、一定期間休眠する<といっても春にまた花や葉がつくように栄養や力をためているのである>木のこと)。山に生え、高さは3~7メートル。葉に特徴があり、複数の小葉(しょうよう・葉を形作っている小さな組織。これが葉っぱに見えるだろうが、葉っぱではなくその一部なのだ)が集まって1枚の葉になっています。鳥の羽根みたいで奇数枚小葉があるので、奇数羽状複葉(きすううじょうふくよう)といわれます。また、葉の軸が太くなっています。(写真を見ればわかると思うが、葉のまん中は細くまっすぐではなく、左右にふくらんでいるみたいです)小葉は長さ5~12センチの長いだ円形で、ふちにぎざぎさがあり、裏には毛が生えています。

8~9月、枝の先に白っぽい黄色で、小さな花が多く咲きます。その後直径4mmの実がなりますが、酸味(すっぱさ)のある白い粉がかかっています。なりたての実はロウ(ろうそくのロウだ)がとれます。そのためこの実は塩の実とも呼ばれています。そして、葉にはヌルデノミミフシアブラムシが寄生してこぶができることがありますが、これをヌルデのふしといいます。これはタンニンが多く含まれ、薬用や染料に使われています。(タンニンは柿でご存じの方が多いと思います。柿のしぶみの成分で、竹や紙、漁業用の網の補強材や防腐剤、染め物に使われ、生活の役に立っているのです)

このヌルデを詠んだ和歌が万葉集という奈良時代の歌集にあります。

足柄(あしがり)の吾(わ)をかけ山のかづの木の 吾をかづさねもかづさかずとも

これは作者不明の、相模国(さがみのくに・今の神奈川県)で詠まれた和歌で、足柄山の、私を心にかけてくれるという名まえを持った山の、そのかづの木(相模国ではヌルデをこう呼んでいたといわれる)のかづという言葉のように、私をかどわかし(かどわかすとは恋愛によく使われる言葉ですが、誘惑<ゆうわく>するという意味です)誘い出してくれないだろうか、たとえ誘い出すのが難しくても、という意味です。ヌルデの方言である「かづ」とかどわかすという意味の「かづす」をかけた言葉遊びの要素が入っていますが、歌をよく読むと相当熱い恋愛のようです…ちなみに足柄山(あしがらやま・和歌の中では足柄をあしがりと読むが、相模国でのなまりである)は神奈川県の金時山(きんときやま)という山にある場所です。

なお、このヌルデ、ウルシ、ハゼノキはご存じの方がいると思いますが、さわると皮ふがかぶれてしまいます。(皮ふが炎症をおこしてしまう)ですから、触らないよう注意する必要があります。ちなみになみ滝藤原園ではヌルデやウルシが多いです。さわらないように注意する必要がありますが、秋になると葉が赤くなり、これを見るのも良いのではないかと思います。(2013年11月のこと)いろいろな木の葉が赤くなったり黄色くなったり、美しいよい光景と私は思います。そこでお粗末ながら一句。

秋の山 雨降らずとも 虹見える

 

 

 

 

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