タニウツギ
主に日本海側の日当たりのよい山野に生え、観賞用としても植えられているスイカズラ科の落葉樹(らくようじゅ・毎年葉が枯れて、一定期間休眠する<といっても春にまた花や葉がつくように栄養や力をためているのである>木のこと)。漢字では谷空木と書きます。別名はベニウツギ。
高さは2~5メートルになります。葉は対生(たいせい・2枚の葉が対になって生えること)し、形は長さ4~11センチのだ円形または卵型のだ円形。先は鋭くとがり、ふちに細かいぎざぎざがあります。また、表面には短い毛がまばらにあります。
5~7月、紅色または薄い紅色の花をつけます。白い花のものもあり、これはシロバナタニウツギあるいはシロバナウツギといいます。
タニウツギは昔から人々と深い関わりがあり、100以上の地方名があります。飢饉(ききん・農作物<のうさくもつ>が災害などでできずに多くの人の食べ物が不足すること)の時には生えて間もない芽を食用にしたそうです。今は食べることに困ることは少なく、飢饉ということは想像しがたいかもしれないが、このタニウツギからいわゆる「ものがなかった昔の時代」を思う、というのは大げさでしょうか。それでも重い軽いはともかく昔のエピソードが関わる植物も結構あるようです。