子どもたちに夢を語ろう

子どもたちに夢を語ろう」と、西村副理事長が自然体験活動指導者研修で学生に言われた時、ハッとさせられました。「子どもたちに夢を語っていないな」と。国際社会で活躍できる人を育てたいと思って始めた活動なのに。

イギリスのビジネススクールで学んでいた時、アフリカ諸国からのクラスメートの多くが「自分の国を良くしたい」という大きな夢を持って学んでいました。彼らのように言えるものを持たない私は、彼らがとても羨ましかった。

研修で西村副理事長が話された内容は殆ど頭に残っていませんが(スミマセン)、「子どもたちに夢を語ろう」は心に響き続けました。イギリスでの経験があったからかもしれません。そこでNPO法人メセナSUN-CLUB学びの森の機関紙『ソールだより』に寄稿してもらいました。下記の子どもたにち夢を語ろうは、『ソール便り』からの抜粋です。

 

子どもたちに夢を語ろう (NPO法人メセナSUN-CLUB学びの森 副理事長 西村清巳)

1. 愚痴や小言よりよい話

家庭教育の中で愚痴と小言は子どもが育つ栄養にならない。学校育の中で生活習慣教育やしつけ教育が多すぎはしないか。子どもをやる気にさせる話は何だろう。大人は子どもたちに未来を託していることを伝えているだろうか。郷土を支えるのは君たちだと伝えているだろうか。社会のリーダーになれ、日本社会のリーダーになれと言っているだろうか。   子どもたちはどんな話に触発されるかわからない。日々のニュースの中から勇気の出るもの、隣人のすばらしい活動、困った人に手を差し伸べる人々などの話題を取り上げて話してもらいたい。拍手を送りたい話題をいっぱい伝えよう。キャンプ生活の中で小言が多くなっていないだろうか。くわばらくわばら。あくまでも子どもを育てるキャンプの目的を忘れてはならない。いっぱい夢物語をしよう。

2.感動物語

感動体験をいっぱいさせよう。レイチェル・カーソンが「知ることは感じることの半分も重要ではない」と言った。子どもたちにはいっぱい驚きや感動の体験をさせたい。長い間子どもキャンプをやってきて、子どもたちがいつも感動のトップに挙げるプログラムは登山である。二番目はキャンプファイヤーである。どうしてか。まず自分の力でやり切ったという達成感の裏付けがあるからである。登山は弁当作りから、早朝の出発、苦しさに耐えて頂上に到った自分の努力に満足しているのである。頂上の視界の広さ、助け、助けられた実感。握り飯のうまさ、子どもたちが感動する要素が詰まっている。キャンプファイヤーはすべての役割を子どもたちに分担する。目的と方法を徹底的に教える。いかにしてみんなが主役になれるかを考える。繰り返し繰り返し練習する。自分たちでやり遂げたという実感をみっちり味あわせる。エールマスターだけなく、トーチ係だけでなく、みんなが自分たちでやったと思う充足感を大切にする。

3. 先人の足跡

身近な先輩たちのすばらしい活動を伝えよう。子どもの活動で思わず拍手を送りたくなる話を伝えよう。〈終戦後神戸埠頭のガキ大将のリーダーシップ〉〈一八九〇年、和歌山県大島沖で遭難したトルコ軍艦エルトゥールル号の遭難者を救った大島島民の勇気と友情〉、〈国道九号線の大雪で渋滞した車一〇〇〇台に手を差し伸べ た琴浦町民の美徳〉〈水没バスの上で幸せを感じる心の豊かさ〉〈ユダヤ人六〇〇〇人を救った杉原千畝の決断力〉〈米百俵で学校を作った小林虎三郎の先見性〉。いくら古い事例でも、今に通じる日本人の誇りと美徳を伝えなければならない。子どもたちの「やる気」に火をつける話はどんどん見つけてしつこく伝えよう。

4. 言葉の力

「死なないで。あなたは私の夢だから」とヤンキー先生・義家弘介に語りかけた安達俊子先生の言葉はあまりに有名だが、私たちが日常子どもに投げかける言葉もすごく大切。どんな言葉が子どもの心に残るかわからない。意図的に話しかける時よりも何気なく言った言葉が心に残っていることがある。そんな言葉をかけられる人間性を磨かなければならない。「君はようがんばるのう」「君は優しいのう」「君の笑顔がすばらしい」などなどの言葉がいいタイミングで発せられた時、子どもの心に深く沈殿する。                                                                                                                                      子どもの心に長く残る言葉、その言葉に触発されて子どもが成長するような言葉をいっぱいかけよう。

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