エゴノキ

エゴノキ科の落葉樹。(らくようじゅ・毎年葉が枯れて、一定期間休眠する木のこと。休眠といってもこの間また花や実をつけるため栄養をためている)雑木林などに生え、高さは7~15メートル。葉は長いだ円形。5~6月に白い花が下向きに咲きます。果実は長さ1~1.3センチの卵のような丸い形で、うすい灰色をしています。熟すとたてに割れて褐色の種子が出ます。この植物は毒を含んでいるので食べないようにご注意ください。

しかし、実の皮にはエゴサポニンという物質が含まれ、新鮮な果実を洗たく石けんのかわりにしたり、麻酔(ますい・眠らせること)効果もあるためすりつぶして川に流し、魚とりに使ったりします。思えばこの木をこういう目的で使い始めた人は偉いと思いました。今は具体的にどこでどう使われている使われているかはわかりませんが、生活に役立つ木というのは確かですね。

そして、このエゴノキを詠んだ短歌が万葉集(まんようしゅう)という奈良時代の歌集にあります。作者は不明で、「息の緒(お)に 思へ(え)るわれを 山ぢさの 花にか君が 移ろひ(い)ぬらむ」という短歌です。命をかけてあなたを思う私なのに。あのしぼみやすい山ぢさ(エゴノキのこと)の花のようにあなたの心は変わってしまったのですか、という意味です。失恋の歌のようですが、何があったのでしょうか。少なくとも歌に登場する男性の女性への思いが消えてしまったことは確かなようです。(・・・)

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