カキドオシ

シソ科の野草で、タイムというハーブのような香りを持ち、野原や土手に見られます。ツル性の多年草。(たねんそう・種から芽が出て、花が咲き枯れるまでの一生が2年以上続く植物のこと。多年草は一度枯れても根は生きていてまた芽を出す)

茎は細い四角形。葉は円形でふちに浅いぎざぎざがあり、対生(たいせい・2枚の葉が対になって生えること)しています。4~5月ごろ、薄い紫色の花が咲き、咲き終わると、まっすぐ伸びていた茎がツルのように地面をはうように伸びていきます。ちなみにカキドオシは漢字で「垣通し」と書き、ツルのような茎が垣根を通り抜ける様子からこの名がつきました。

茎を根もとからちぎり、塩をひとつまみいれて水にさらした後、あえ物にしたり、茎を花がついたまま天ぷらにして食べます。この草は別名をカントリソウといいますが、子どもの癇(ひきつけ)という病気を治すのに使われたことからつきました。

薬草にするには、花が咲いた時に草を全部とり、日陰に干して乾燥させます。これを煎じて飲めば、糖尿病にも効果があります。また、乾燥したものを小袋に入れ、ホワイトリカーという酒につけると、薬草酒ができます。花はかわいらしく、こうして食べ物や薬としても広く用途がある「面白い」草と思います。ちなみにこのカキドオシの花はムラサキサギゴケの花に似ています。(同じ里山の植物図鑑のムラサキサギゴケの項目をご覧ください。ムラサキサギゴケはゴマノハグサ科の植物です。)

2013年5月現在、このカキドオシの花が大いに咲いています。ムラサキサギゴケも咲いています。地面に紫の模様がいっぱいです。ちなみにカキドオシの花言葉は陰謀(いんぼう・人に知られないようにひそかにするよくないこと)です。なぜこんな悪い花言葉なんでしょうか。花も使われ方も陰謀とは無縁なのに。

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