キキョウ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日当たりのよい山地や野原などに生える50~100センチのキキョウ科の、芽が出てから枯れるまでの間が2年以上続く多年草(たねんそう・種から芽が出て伸び、花が咲いて枯れるまでの「一生」が1年未満の植物を一年草<いちねんそう>と言うのに対し、多年草とは一生が2年以上続く植物のこと。多年草は一度枯れても根は生きていてまた芽を出す)。

葉は互生(ごせい・茎にたがい違いに生えること)し、長さは3~7センチ。形は長い卵形で先がとがり、ふちにはぎざぎざがあり、裏はやや白みががっています。7~8月に鐘の形をした紫色、時には白い花が咲きます。花は美しいとされ、八重咲きや白花など園芸種も多いです。古くから観賞用に栽培もされており、江戸時代に多くの品種が作られました。

春から初夏にかけて若い目や茎の先のやわらかい部分をつみ取り、ゆでて水にさらし、ごまあえや酢みそあえ、おひたしにしたり、天ぷらやいため物、煮物にも向いています。また、夏から秋にかけて根を掘り、食用にできます。ただし、このままでは根は毒を含んでいるので、割ってからしばらく水にさらして、毒を抜いて使います。漬物や煮物にします。 この根をよく洗い、乾燥させたものが桔梗根(ききょうこん)という漢方薬で、たんやせきをしずめたり、強壮の効果もあります。

キキョウは漢字で「桔梗」と書き、昔から日本の秋を代表する観賞用の草「秋の七草」の一つとしても有名です。ご存じの方がいるかもしれませんが、この秋の七草(ハギ、オバナ<ススキのこと>、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、アサガオ<キキョウのこと>)を詠んだ奈良時代の歌人・山上憶良(やまのうえのおくら)の歌「萩の花尾花(をばな)葛花(くずばな)なでしこの花女郎花(をみなえし)また藤袴(ふじばかま)あさがほの花」があります。この中のあさがほ(あさがお)がキキョウのことで、昔はアサガオと呼ばれていました。

ほかにキキョウのことを詠んだ歌に 朝顔は 朝露負ひて 咲くといへど 夕影にこそ 咲きまさりけれ (作者不明) (アサガオは朝露がかかって咲くというが、夕日の中では、それよりもっと美しく咲くんだなあ) があります。 私は朝でも夕方でもキキョウは美しいと思います。ちなみにこの花の花言葉は変わらぬ愛。それが恋愛なのか、家族愛なのか、それとも別の愛なのかわかりませんが、変わらぬ愛を求めるのは私だけではないと思います。

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