ゲンノショウコ

昔から民間薬として有名な、フウロソウ科の多年草。(たねんそう・種から芽が出て、花が咲き枯れるまでの一生が2年以上続く植物のこと。多年草は一度枯れても根は生きていてまた芽を出す)。別名フクロソウ、ミコシグサ。タンニンという物質を含み、特に下痢止めに効果があります。このことからこの植物は医者いらず、医者泣かせともいわれています。中国地方では5~8月が採取時期で、これを乾燥させて薬草茶を作り、下痢止めとして飲みます。このお茶を飲めばすぐ効果が出ることから「現の証拠」といわれ、これがゲンノショウコの名の由来です。また、若い葉を塩をひとつまみ入れてゆで、水にさらしてあく抜きをした後、からしじょうゆあえや油いためにしたり、天ぷらにして食べます。

草の丈は30~60センチ。草全体に下向きの毛が生え、茎は地面をはうように、またななめにのびたりします。葉には3~5個の深い切れ込みがあり、対生(たいせい・2枚の葉が対になって生えること)し、生えたばかりの時は暗い紫色の斑点があります。夏の土用の丑の日(7月下旬にあたる。うなぎを食べることで有名と思います)に近づくと、白または赤紫色の花が咲きます。岐阜県を境に、西では赤い花が咲き、東では白い花が咲きます。この辺は赤い花が咲きますが、どちらの花もきれいと私は思います。ちなみにこの花の花言葉は強い心。なぜこういう花言葉なのかわかりませんが、薬ゆえ強いというイメージなのでしょうか。ゲンノショウコのお茶を飲んで強い体と心を持ちたいものです。なんちゃって。

花が咲いた後、熟した実が裂けて種が飛び散ると、実の皮が巻き上がります。その様子が祭りのおみこしに似ていることから、ミコシグサとも呼ばれています。ちなみに花はイワアカバナに似ています。

経験した方もいると思いますが、私はそのお茶を飲んだことがあり、正直苦いです。まあ、良薬口に苦しといったところでしょうか。一度お茶以外の調理法のものも食べてみたいものです。メセナSUN-CLUB学びの森では万葉集(まんようしゅう・奈良時代の歌集)の歌を通して、植物について学び親しむ万葉の植物講座を行っていますが、これにちなんでつたないながら歌を一つ。

腹下しゲンノショウコを飲むべしと 母の教えを思い出す夏

なお、ゲンノショウコはトリカブトという毒のある植物に葉が似ているので、採るときはご注意ください。この二つの植物の違いは、トリカブトの茎はゲンノショウコより太く、トリカブトにはゲンノショウコにある毛がありません。また、トリカブトの花は秋に咲きます。

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